ノベル坂

オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな このはてしなく遠いノベル坂をよ…

「泣き虫スマッシュ!」が影響を受けたスポーツ漫画5作

泣き虫スマッシュの発売から1週間が過ぎました。

つばさ文庫のサイトにいただいている感想も見ています、ありがとうございます!

友人知人からも購入報告や、感想をいただいています。その中に「スポーツものだし、漫画みたいだね~」というものも複数ありました。

それはもう完全にその通りで、もともと漫画が好きということもあり、スポーツ漫画の影響は受けていますし、参考にしています。

ちょっと自分の頭を整理するためにも、どんなスポーツ漫画からどんな影響を受けたのか、まとめてみました。

 

ベイビーステップ

高校入学後にテニスを始めた主人公・丸尾栄一郎(エーちゃん)が、やがてプロを目指すようになるテニス漫画。

泣き虫スマッシュがどうというよりも、こんな風にスポーツ小説を書きたいな、書けるんじゃないかな?と思わせてくれた作品です。

高校からテニスを始めてプロを目指す…という目標は無謀にも程があるのですが、エーちゃんは几帳面でまじめな性格と論理的な思考という一見地味な武器をフル活用し、着実に壁を乗り越えていきます。自分や相手を徹底的に分析する様子や、目の前の試合に限らず長期的視点をもって努力する姿は、人生の教科書になると思います、本当に。

で、エーちゃんがそんなタイプの人間なので、試合中のモノローグがとにかく多い! 

自分が置かれた状況や作戦の組み立て、メンタルの状態等々、なにからなにまでエーちゃんが自分で細かく解説してくれます。それが丁寧で、よくできた小説やノンフィクションのように、面白く読ませてくれるのです。

特に試合については、同じラケット競技ということもあり、ベイビーステップを意識しているところがあるかと思います。ただ私のバドミントン知識がまだまだ足りないので、これからもっとしっかり勉強して、面白くわかりやすく正確に描いていきたいですね。

それから、長い試合の合間に挟まるラブコメパートの破壊力が凄まじいので、その辺も見習っていきたいです。

 

はねバド!

天才・羽咲綾乃を主人公に、高校女子バドミントンを描いた漫画。「主人公の性格が悪い」という点で異色だと思います。しかし、めちゃくちゃ面白い!

バドミントンを題材にすると決めたものの知識がゼロだったので、ルールから用語からなにから、最初にはねバドを読んでいろいろと学ばせてもらいました。否応なく、影響を受けていると思います。

綾乃はレシーブが得意な守備型の選手、もうひとりの主人公と言える荒垣なぎさはスマッシュが得意な攻撃型の選手…ということで、選手としての特徴は奈央&ことりとそれぞれ近くなりました。当然ですが、そのぶん見た目や性格等は全然違うものにしています。

なぎさのスマッシュが迫力あってかっこいいです。ことりのスマッシュを文章でどんな描き方をしていくか、ですね…。

 

MAJOR(特にリトルリーグ編)

プロ野球選手を父に持つ少年・吾郎の野球人生を大河ドラマ的に描いている大長編漫画。幼稚園時代から中学、高校、メジャーリーグからその先まで舞台になっていますが、やはり児童文庫の作品を書くにあたっては、吾郎が小学生時代のリトルリーグ編が参考になります。改めて考えると、スポーツ漫画って高校やプロを舞台にしたものが大多数で、小学生時代をがっつり描いたものって少ないんですよね。

吾郎・清水・小森・沢村の関係が好きです。中学時代以降とは違う、小学生男女の距離感からしか出ない雰囲気の良さって、ありますよ…。バドミントンは野球と違い小学生時代から男女別ではありますが、わちゃわちゃした雰囲気は出せたらいいな、と思います。

小学生スポーツものとしてエピソードの数々が完璧ですよね…。いじめ問題、大人との対決、母・桃子の再婚にいたるまでの話、清水の作文の話、横浜リトルへの移籍問題、ギブソンからの招待状、初恋の残酷な結末、等々。そして横浜リトルとの死闘にすべてが集約されていく展開ですよ。あんな試合が描きたいものです。

 

SLAM DUNK

言わずと知れた、バスケットボール漫画の名作。映画化も話題ですね。何に影響を受けたかって、主人公・桜木花道の存在です。

泣き虫スマッシュのことりは初心者であり、低学年の頃からバドミントンを始めていた他の子と経験の差が歴然としています。そんなことりが、フィジカル面で恵まれているとはいえトントン拍子に強くなるというのはご都合主義な印象を与えてしまうのでは…?という不安は、設定を考えている段階で頭に浮かびました。

そんなときにスラムダンクでも高校入学後にバスケを始めた花道がその年のインターハイで活躍してるんだから、小学生ならなおさら大丈夫やろ!」と思えたのは、本当に大きかったです。

ただスラムダンク作中において、花道は初心者ゆえの様々な失敗をやらかしますし、対戦相手も花道の経験不足な面を突いてくるため苦しみます。いっぽうで、安西先生や赤木たちの指導や花道自身の努力、競技に夢中になっていくさまもしっかりと描かれています。だからこそ、花道の急成長と才能開花に説得力があるんですよね。

身体能力が優れてるから経験が少なくてもなんとかなる…では絶対ダメで、経験不足からくる失敗と、ちゃんとした指導、本人の努力等を描く必要があるな~と考えてエピソードを作っていきました。

 

もういっぽん!

週刊少年チャンピオン連載中の、高校女子柔道漫画。2023年1月からテレビアニメ放送予定です。2億部売れてほしい、大好きな作品であります。

連載開始時からずっと応援していることもあって、影響を受けまくっています。競技は全然違うのですが、こういう雰囲気の女子スポーツものを描きたいという思いがありますね。熱さとかわいさをどちらも最高レベルで両立させて描くことはできるのだ!ということを「もういっぽん!」の存在で信じることができますよ…!

個人的には、主人公の園田未知たちを指導する柔道部顧問の夏目先生が、指導者として特筆すべきキャラクターだと思ってます。

スポーツものの指導者キャラによくあるのは学生時代にその競技で実績を残していた…という設定なのですが、夏目先生は学生時代に柔道経験ゼロ(バレーボール部)。教師として柔道部の顧問になってから柔道を始め、試行錯誤しながらも部員たちを支え、的確にアドバイスしていきます。

また、部員の怪我防止に非常に気を遣うのも現代的。しかしながら、事故は起きるときには起きてしまうもの。夏目先生は、怪我をした側の部員はもちろん、怪我をさせてしまった側の部員への対応が素晴らしくて、理想の指導者とはこういう人を言うのでは…と思います。

現実の学生スポーツにおいては、悪質な指導がニュースになることがあります。ニュースにならないところでも、いろんなことがあるのでしょう。物語の中でくらいは、良い指導者のもとで子どもたちに練習してほしいな…と思います。

 

予想よりも長くなってしまいました…。こんなの書いてるヒマあったのか…?

きっと漫画に限らず、これら以外の作品にも無意識に影響を受けているところはあるでしょう。これまで出会ったすべての作品に感謝したい気持ちですね。

そしてデビューした以上、今度は自分の作品が、どこかのだれかに影響を与えることができればいいな、と思っております。