ノベル坂

オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな このはてしなく遠いノベル坂をよ…

『泣き虫スマッシュ!』2巻の話(ネタバレあり)

発売から1か月ほど経ちましたので、『泣き虫スマッシュ!』2巻について、ここで書き散らかしたいと思います。

tsubasabunko.jp

 

 

以下ネタバレ全開で書きますので、未読の方はお気をつけください。

 

 

 

 

 

 

小学生のバドミントンを題材にしている以上、実際の大会の内容やスケジュールを参考にしないと最低限のリアリティに欠けるな…

という思いは、1巻の作業をしているときからありました。

若葉カップ(作中では青葉カップは7月に行われるクラブ単位の団体戦

ABC大会(作中ではSDT大会)は8月に行われてシングルスのみ。

美空バドミントンクラブの女子は、青葉カップ出場に必要な7人ぎりぎりのうえ、奈央&ことりが6年生で他の子は3年生以下という設定。

おまけに駒沢姉妹のクラブが強豪なので、勝って全国に進むという展開は現実感がない。

奈央&ことりのペアは負けないけどクラブは全国行きならず、という流れが妥当だな~と考えました。

 

いっぽうでSDT大会はシングルスのみの大会。ふたりの主人公がペアを組むお話である以上、シングルスは無視するというのも頭をよぎりましたが、

同じチームの仲間同士がぶつかる試合こそ、個人競技の燃えるところだろ!

と考えました。

はねバド!』『もういっぽん!』『火ノ丸相撲』『ピンポン』などなど、いずれもそんな展開がありますもんね。

なので、この2巻で奈央VSことりの試合を描くと決めました。

2巻にしてこの展開は早いかもな~と思いつつ、アスリート向きの性格ではないことりが少しずつ変わっていくきっかけとして、ちょうど良いのではないかな…と。

 

そんなわけで、

・青葉カップ予選でクラブは負ける

・SDT予選で奈央VSことりの試合

という二点を必須とし、そこから面白くするためにテーマ・展開・キャラクターを考えていきました。

2巻から登場した新しいライバルキャラふたりに触れますと、

海津清乃

苗字の由来はカイツブリから。

奈央と準決勝で対戦する選手ということで、母親が指導者であるという共通点を持ちつつ、対照的な性格にしてみました。

私、アニメに出てくる女の子キャラの中で『ターンエーガンダム』のソシエ・ハイムがいちばん好きなので(唐突な告白)、
ここらでソシエっぽい髪型の子を出したいな~と思ってマッシュルームカットとお願いしましたら、むっしゅ先生に2巻P141ですごい美人に描いていただいて! ありがとうございます!

バドミントンに限らず、子どものスポーツにおいて熱意が空回りしている指導者や親が存在しているという現実があります。

小学生年代においては、親が関わる比重も高いでしょう。奈央の母のように親が指導者を兼ねているケースも多いようです。

奈央ママをかなり理想的な指導者兼母親として描いているので、問題のある指導者兼母親もここで出しておきたかったんですよね。スポーツの良くない面もしっかり描いておきたいので…。

バドミントンを楽しむことができていないせいで無口になり、2巻後半までほとんどセリフがありませんでしたが、母との関係が改善したので今後はセリフも増えて性格も多少は明るくなる…はず。

シリーズが続けば、一番大きく変化するキャラクターになるかもしれません。

 

丹羽瑠璃子

苗字の由来はニワトリから。

ことりと準決勝で対戦する選手なので、目立つ体格&控え目な性格のことりと対照的に、普通の体格&目立ちたがりな性格にしました。少しでも目立つために髪型をツインテールにしているという設定です。

現実のABC大会が2学年ごとにカテゴリ分けされているので、ひとつ下の5年生とも対戦したほうが面白いな…と思って5年生にした結果、ですます調でしゃべることになり、いい感じの個性になったな~と思ってます。

蘭&凛のことを『目の上のたんこぶ』とか言ってますが、なんやかんやで後輩力が高く、かわいがられていると思います、きっと。

ことりとの関係はどうなっていくんでしょうね、これから。何も考えてません…。

ラブライブ!各シリーズで必ずひとりはいる、うざかわいいタイプの子の影響を受けていると思います。

関係者からは評判良いですし、大人の読者さんも気に入ってくれているみたいです。まあ大人からすると、こういう子はかわいいですよね、やっぱり…。

小中学生の読者さんは、どうなんかな~? ちょっと心配です。

 

そして、あとがきにも書いた小学生のスポーツ全国大会廃止に関する議論について。

 

めちゃくちゃむずかしい!!!!

 

勝利至上主義に陥って、体罰や暴言、過度にハードな練習が行われることが問題なのはまったくそのとおり。

特に小学生年代だと、家族も大きく関わるでしょうし、よけいにややこしそう。

親が自分のプライドを保つために子どもを利用している話を聞くと、苦しくなります。

いっぽうで、勝つためにがんばることは大切だとも思います。勝つことも、勝ちに行って負けることも大事な経験でしょう。全国大会に関して言えば、上には上がいる認識を持つということも。

おまけに、競技ごとに事情もちがうでしょうし…簡単な結論を出せない問題だと思います。

ただ『泣き虫スマッシュ!』は設定からして、ある程度競技レベルが高い子たちの話になっています。1巻の冒頭からして、全小の決勝戦ですし。

この辺の問題には触れていかなければならない、という義務感がありました。

勝利という結果を求めすぎるのは良くない、しかし勝利を目指す努力は大切。

そのバランスの見せ方について調整が続きましたね。

あまりキツい描写をするのもいけませんし、本当にむずかしい…。

目的意識を持つこと。仲間や対戦相手をリスペクトすること。

そのあたりが、競技を通してふたりの成長を描いていくうえでのカギになるかな~と見えてきた第2巻でもありました。これからもその辺はしっかり描いていきたいです。

3巻以降も引き続き、奈央とことりを応援よろしくお願いいたします!