ノベル坂

オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな このはてしなく遠いノベル坂をよ…

『泣き虫スマッシュ!』4巻の話(ネタバレあり)

『泣き虫スマッシュ!』4巻の発売から約1か月が経ちましたので、内容について書きたいと思います。

tsubasabunko.jp

最終巻ということもあり、長くなりそうな予感がする…!

 

 

 

以下、ネタバレを含みますので未読の方はお気を付けください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4巻のプロットを立てる時点では、最終巻になる可能性はあるものの、確定はしていませんでした。完結することも続けることもできる、両にらみで内容を考えていきましたね。

・3巻で全小優勝を目指す!と決意した以上、最低でも全小行きを決めておきたい

・奈央の父親について1巻からチラチラと書いているので、そこは4巻で決着させる

・学校のイベントをからめたい→6年生の秋だから修学旅行かな~

・3巻は奈央が絶好調だったぶん、4巻ではどん底まで落ちてもらおう…絶望の中でこそ大望が生ずる!

ということをふわっと決めておき、3巻を気になる終わり方にしつつ4巻に取り組みました。

 

修学旅行の行き先は、大阪・京都・奈良にしました。自分が小学生だったころもそうでしたしね。

まず、参考にアニメの修学旅行回、それも行き先が関西であるものを見てみました。具体的には『らき☆すた』『瀬戸の花嫁』『ゆるゆり』です。どれも10年以上前だ~。

ちゃんと見たことなかった作品ばかりで、いい機会でした。ぜんぶ面白かったですね。らきすた瀬戸の花嫁は本当にゼロ年代アニメー!という感じ。

ただ参考になったかというと、微妙です…。

 

じゃあ実際に行くしかないよなあ!!

 

そんなわけで真夏の大阪城へ行ったり、奈良で鹿とたわむれたり、球技の神様を祀る白峯神宮へ行ったりしてきました。

修学旅行は決して本筋ではないのですが、やっぱり取材にいかないと書けないものだなぁと実感しましたね。

 

それから、何か小道具がほしいよね…という話になり、リストバンドをキーアイテムとすることに。

さらに渡すシーンがあるけれど、そういや奈央&ことりの誕生日を設定していなかったな…と気付き、ここで明らかになりました。本当にたまたまですが、つばさ文庫キャンペーンで奈央のプロフィールを設定する必要もあったので、ちょうど良かったです。

細かいことを書きますと、右利きの奈央がラケットを持つ右手につけているのに対し、左利きのことりはラケットを持たない右手につけています。

これはリストバンドをつける目的が違っているからです。

奈央は汗がラケットを持つ手に流れてくるのを防ぐため、ことりは顔の汗を拭く&スマッシュの威力を少しでも増すためです。

ただ利き手じゃない方にリストバンドをするとスマッシュの威力が増すという科学的根拠がいまいちわからないので、本文中には書きませんでした。実際のところ、どうなんでしょうね。

リストバンドについても、挿絵にしっかり反映していただいています。リストバンドが出てくる場面のイラスト、どれも最高です!!

 

そして、4巻の登場人物について。

 

掛須亜希&赤原真奈

1巻から登場していた、ことりの友人たち。苗字はそのまんま、カケスとアカハラから。

ことりがバドミントンを始めるにあたり、クラブ外の話し相手が必要かと思い設定したのでした。スラムダンクでいう桜木軍団のポジションですね。

3巻まで書いていく中で、ことりと奈央の関係に嫉妬しちゃうのでは…?と思い、4巻で少し焦点を当てました。いい場面になったんじゃないかと思います。

容姿についてはもう、完全にむっしゅ先生任せです。ふたりともカワイイ!

 

奈央のおじいちゃん&おばあちゃん

ふたりとも奈央がかわいくてしょうがない、激甘の祖父母です。

おじいちゃんは初登場ですが、1巻では奈央にノートPCを買ってくれていたり。おばあちゃんは3巻で一定の存在感を出しておいてよかった。いきなり4巻で登場して病気になってもどうかと思いますもんね。

ちなみに、おばあちゃんの病名はくも膜下出血を想定しています。実際に高齢女性はリスクが高いらしいので、お気を付けください。

 

鈴村恭介

4巻のキーマンとなる、奈央の父親です。苗字はスズメから。本文中では書いていませんが、東京の一流企業に勤めている設定です。

悪人ではないものの、当初はもっともっとダメな人間を想定していました。いろいろと調整した結果、そこまでダメでもない人になった感じでしょうか。

書いていくうちに、いかにもユースケ・サンタマリアさんが演じそうなタイプの役だな…などと思ったりしましたね。

 

山賀由衣

なんでも「いいね」と肯定してくれる学級委員。苗字はヤマガラから。

修学旅行はクラス単位。奈央とことりは別のクラスだから、奈央にもクラスの友人が必要かな。名無しだと書きづらいし…。というところから設定しました。

ショートカットでメガネの優等生ということで、なんとなく『けいおん!』の真鍋和をイメージしていた気がします、今思うと。

本当は全小での新ライバルキャラにメガネの子を出したかったのですが、終わる可能性があるならここでメガネを投入しておくか…という気持ちもありました。

 

鵜飼遥&久慈亜矢香

全小行きをかけた試合で対戦する、徳島代表のペアです。苗字は鵜と孔雀から。名前は恩人おふたりから拝借しています。

全小の四国ブロック予選を調べると、四国から出場できるペアは3組。じゃあ3位決定戦にもつれるほうが盛り上がるじゃないの、と考えました。

ただ対戦相手を駒沢姉妹にすると、そちらにスポットが当たってしまう恐れがある。最終巻になるかもしれないのだから、ここは奈央自身との戦いという描き方をしたい…。
なので、奈央&ことりと因縁を作ることはできないし、あまりキャラを立てる必要もないから、イラストも不要だろう。かといって名無しで特徴が無い相手にするわけにもいかない…という微妙なところ。

そこで、改めて奈央が自分の身長の低さに直面する「二人とも背が高いペア」という特徴だけ設定することに。バドミントン女子日本代表・ナガマツペアのおかげで思いつきました。感謝しております!

 

あとは、『おもしろい話、集めました。Ⓦ』に出てきた笠置希さんをチラッと再登場させることができて良かったです。あの後で奈央&ことりとどうなったかを書く機会がほしかったんですよね~。

 

と、こうしていったん書き上げてから、4巻で終わりとなることが正式決定。最終章はエピローグ的なものにすることとしました。

もうこのエピローグについては、いくらでも書けるんですけど!

いきなり8年後にしたのは、1巻ラストとリンクさせたかったからですね。たぶんもう少し作品が続いていたとしても、終わり方は似たようなものになったと思います。

大会名は出していませんが、女子の国別対抗戦であるユーバー杯と考えていただければ幸いです。

団体戦にしたほうがオリンピックよりもたくさんのキャラを出せそうだし、開催地をデンマークにしても違和感がないというのもあります。

そう、絶対デンマークにしたかったんですよね。3巻でことりが「デンマークに、大人になったら必ず行こうと思いました」と言っていますし。これが巻をまたいだ伏線じゃーい!と読者さんに見せたかったんや…。

 

奈央&ことりが、それぞれ登場人物に対する呼び方が変わっているのは年月の経過により関係性が変化したのだとお考え下さい。どう変わったのかは、ご想像にお任せします!

 

あとは各キャラクターについて描ききれなかった点を補足したいと思います。

 

海津清乃。

関東の大学に進んで、バドミントンを続けています。日本代表に選ばれなかったのは悔しいけれど、今の目標は大学日本一。
3巻で登場したみなみ&結花と連絡を取り合い、国別対抗戦を視聴していると思われます。

 

駒沢蘭&凛。

国別対抗戦に蘭がシングルスで出場していたことから、あれ?と思った読者さんもいるかもしれません。

凛はバドミントンをやりきって高校で競技は引退、大学では勉強に集中しています。スポーツ医学かスポーツ心理学の道に進むかも。

蘭は凛以外の選手と組む気がゼロなので、完全にシングルス専門の選手となりました。高校卒業後、熊本の実業団へ進んでいます。

…やっぱり凛についてもっともっと書きたかった~!!

たとえ実力があっても競技を続ける子ばかりではない、競技だけが人生ではない、ということも書きたかったんですよね。もしこれから先、再びスポーツものを書く機会に恵まれれば、大人になった凛をチラッと出してみたいな~という気持ちはあります。

 

波戸勇一郎&加藤比呂&江永夏海。

波戸くんは地元の大学でバドミントンを続けつつ、進路を考えているところ。加藤くんは関西の大学へ進学しています。

夏海ちゃんは高3、地元からインターハイ出場を果たして期待の選手となっています。加藤くんが帰って来るたびに押しかけているのでしょう…。

 

丹羽瑠璃子

エピローグで一番おいしいところを持っていったかもしれません。

香川の同世代の選手がみんな日本代表というのはいくらなんでも無理があると思っていたんですよね。

そんな中、バド経験者である乃木坂46の佐藤楓さんがバドミントン番組に出演されているのを見て、瑠璃子を出すならこの形だな!と。

いや、瑠璃子のキャラクター造形は「ラブライブ!の各シリーズに大抵ひとりいるウザかわいいタイプの子」というイメージだったので、アイドルになることは必然だったのかもしれません…。アイドル伝説るり子…。

今後の作品にアイドルとして出てくることがもしあれば、ニヤリとしてください。

 

鶴巻千里&鷲見クラーラ。

中学・高校と二人とも埼玉の学校へ進学。千里は中学生にしてA代表入りを果たします。本文でも書きましたが、クラーラは高校卒業後にデンマークへ戻りました。千里は東京の実業団で、日本の若きエースとして君臨中です。

まあ最後までお読みいただければわかるかと思いますが、一番描き足りないのはこの二人ですよね。

全小、描きたかった~ッ!

特にクラーラが…なんかスラムダンクでいうところの森重みたいになっちゃったなぁ(またスラムダンク)。千里が奈央&ことりをどう見ているかも、深く書くことができませんでした。

なんとか全小の結果だけはねじこんでいますが…敵味方お互いすべてを出しつくす一戦というものを書きたかったです。そういうものを書くにはある程度の助走が必要なのに、助走の途中で力尽きてしまった感がありますよね…無念です。

 

そして、大鳥奈央&日下部ことり。

本文中にもある通り、宮城の高校へ進学後、岐阜の実業団へ。バドミントンに詳しい方なら、モデルとなる学校・実業団はピンとくると思います。わからない方は調べてみてね。

奈央の身長は150cmまで伸びたのに対し、ことりの身長は177cmでストップ(クラーラは180cm)。小学生時より身長差は少ないとはいえ、実際にこんなペアがいたら話題になるような気がしますね。

最後のイラストは、小学生時代と異なりノースリーブ! 山口茜選手みたいでカッコいい! 

さすがに主人公ふたりについては、書くべきことは書いたかな、と満足しています。

 

やっぱり長くなっちゃった…。

 

『泣き虫スマッシュ!』をここまでお読みくださり、ありがとうございました。

4巻まで続いただけでも大したもんだよ…という気持ちが半分、デビュー作をもっと長く続けている先輩方すごすぎる…という気持ちが半分、というのが正直なところです。

泣きスマで書きたかったけど書けなかった内容は、心の中の冷蔵庫に入れておきます。いつか取り出して、違った形に調理して皆様にお出しできるようにしたいと思います。

そのときまで、見守っていただければ嬉しいです!